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市川 荷風忌 における "荷風語り" の歩み 

長浜奈津子ひとり語り、おとがたり朗読とヴァイオリン

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永井荷風「風邪ごこち」 "おとがたり” 朗読とヴァイオリン動画撮影風景 長浜奈津子(朗読)/ 喜多直毅(ヴァイオリン)

以下 それぞれの写真を ダブルクリック すると、2016年から現在までの公演詳細の閲覧が出来ます。

SINCE 2016〜2017

SINCE 2018〜2020

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『葛飾土産』  永井荷風

2023年10月15日(日)午前10時 市川 I-linkホール

長浜奈津子ひとり語り 永井荷風『葛飾土産』

~真間川を声で逍遥す~

『雪解』永井荷風 /『Thaw』by Kafu Nagai

2023年 8月6日(日)午後14時 六本木ストライプハウススペース

おとがたり​ 朗読とヴァイオリン 

ー 作品紹介 ー

目に鮮やかに浮かぶ、大正期の人々の暮らし、街々の風景。再会した初老の父と娘の物語を、情緒豊かに描いた荷風短編小説。

 

「お照はそれにしても不人情なこの親爺にどういうわけで酒を飲ませてくれたのであろう。」

 

兼太郎は点滴の音に目をさました。そして油じみた坊主枕から半白の頭を擡げて不思議そうにちょっと耳を澄した。枕元に一間の出窓がある。その雨戸の割目から日の光が磨硝子の障子に幾筋も細く糸のようにさし込んでいる。兼太郎は雨だれの響は雨が降っているのではない。昨日午後から、夜も深けるに従ってますます烈しくなった吹雪が夜明と共にいつかガラリと晴れたのだという事を知った。(本文より)/ 永井荷風「​雪解」

『濹東綺譚』永井荷風 by おとがたり

ICHIKAWA ART CITY チャンネルより

 

市川市ゆかりの作家、永井荷風の代表作品の一つである「濹東綺譚」より、

小説家・大江匡と玉ノ井の娼婦・お雪との出会いの場面を中心に抜粋。

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第15回 市川 荷風忌「雪解」

2023年5月3日(祝・水)

雪解​  永井荷風

目に鮮やかに浮かぶ、大正期の人々の暮らし、街々の風景。再会した初老の父と娘の物語を、情緒豊かに描いた荷風短編小説。

お照はそれにしても不人情なこの親爺にどういうわけで酒を飲ませてくれたのであろう。(本文より)

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第14回 市川 荷風忌『あめりか物語〜おち葉』『勲章』

2022年5月3日(火・祝日)

今年の市川荷風忌は、やっと従来の五月に戻って良かったです。講演は、滞米時代の荷風文学<新出書簡を手掛かりに>というテーマで岸川俊太郎先生(南山大学准教授)がお話下さいました。永井荷風20代の頃、欧米時代を書いた「あめりか物語」から「おち葉」と「勲章」を読みました。それぞれへ思うところを記します。


<「あめりか物語」から「おち葉」>
文豪荷風の小説、というより文学を志す若い青年が、欧米の地で夢や想いを筆にのせて語っている日記のように感じられて、そのとおりに声にしました。荷風のお孫さんが客席にいらっしゃると聞いて、よりその方のお祖父さまの若い時の日記を読ませて頂く、というような気持ちになり、とても素直に読めました。異国のとある秋の日、ベルレーヌの詩を浮かべながら、若き荷風が日本の藝術界を背負う気概であったことに、心惹かれました。

<「勲章」>
目に鮮やかに
浮かぶ、大正期の人々の暮らし、街々の風景。再会した初老の父と娘の物語を、情緒豊かに描いた荷風短編小説。

 

「勲章」は、浅草のオペラ館が舞台。その風俗やそこに出入りする丼飯屋の爺さんが印象的に描かれています。私自身が20代の頃、明治座さんなど商業演劇界にお世話になった時の現場、楽屋裏の人々や出入りの商売人の方々、その風景の活気を思い出されました。…本番にはこの爺さんの背中が見えました。お洒落で粋な音楽と共に、物語から実体で現れたかのようで不思議な感じがしました。(本文より)

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<2020年5月・8月から延期>

第12回 市川 荷風忌「にぎり飯」「春雨の夜」

2021年12月5日(日)

春雨の夜 ​  永井荷風

「この白魚は大変うまい。おかわりを貰おうか。」
「どうぞ、沢山御座いますから。」
と老妻は給仕に座っている女中を見返って、「掻き回すと中のものが崩れますから丁寧によそっておいでなさい。」
「先代も晩年には白魚と豆腐がお好きであったな。老人になると皆そういうものかな。」

老人はそのなき父と母を思出す瞬間だけ老人はおのれの年齢を忘れて俄に子供になったような何ともいえぬ優しい心になる。けれどもそれは全くその瞬間のことだけのことである。老人はもう六十九、其の妻は五十九になった。(作品より抜粋)

 
にぎり飯 ​  永井荷風

 泥まみれのモンペをはき、風呂敷で頬冠をした若いおかみさんが、頭巾をかぶせた四五歳の女の子と、大きな風呂敷包とを抱へて蹲踞しやがんでゐたが、同じやうに真赤にした眼をぱち/\させながら、
「一寸伺ひますが東陽公園の方へは、まだ帰れないでせうか。」と話をしかけた。
「さア、どうでせう。まだ燃えてるでせうからね。おかみさん。あの辺ですか。」
「えゝ。わたし平井町です。一ツしよに逃出したんですけど、途中ではぐれてしまつたんです。どこへ聞きに行つたら分るんでせう。」といふ声も一言毎ひとことごとに涙ぐんでくる。
「とても此の騒ぎぢや、今すぐにや分らないかも知れませんよ。わたしも女房と赤ン坊がどうしたらうと困つてゐるんですよ。」
「まア、あなたも。わたしどうしたらいゝでせう。」とおかみさんはとう/\音高く涙を啜すゝり上げた。___________


 「あの、もう一軒、行徳に心安いとこがあるんです。そこへ行つて見やうかと思つてゐます。」
「行徳なら歩いて行けますよ。この近辺の避難所なんかへ行くよりか、さうした方がよかアありませんか。わたしも市川に知つた家がありますからね。あの辺はどんな様子か、行つて見た上で、考へやうと思つてるんです。もうかうなつたら、乞食同様でさ。仕様がありませんよ。」(作品より抜粋)

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